提灯と言えば、お店に使われたり、屋台に使われたりしますので、私たちの生活において見たことがない人は一人もいないのではないのでしょうか。私は、少し時代の経った年期の入ったものが好きです。それによって、お店に入るかどうかを決めることもありますので、とても大切なものと思います。そんな提灯につられて入った店に関して忘れられない思い出が1つあります。
大学生になった間もない頃の話です。当時の私は勉強を余りせずに、クラブ活動ばっかりしていました。毎日毎日、朝早くから学校に出かけて、与えられた練習ノルマを一生懸命にやり、放課後も遅くまで練習していました。毎日がそんな事の連続で充実していましたが、身体は相当に辛かったです。ある日、クラブのキャプテンから、飲み会に誘われました。先輩や同期と一緒だったんですが、たまには息抜きしようということで、学校の近くの居酒屋に行くことになりました。その居酒屋は、地鶏を使った焼き鳥が自慢で、お店の前に焼き鳥と書かれた提灯が釣り下げられていて、その提灯につられてお店に入りました。
久しぶりの飲み会でしたので、提灯に書かれていた自慢の焼き鳥をたらふく食べ、お酒もたらふく飲みました。飲み始めた頃は、一般的な世間話や芸能人の話題で盛り上がっていました。そのうち、お酒が回ったのか、クラブの話になってしまいました。みんなベロベロに酔っぱらってしまい、他人の悪口を言うようになってしまい、収拾が付かなくなってしまいました。私も先輩から普段の練習態度を怒られる羽目になってしまいました。そんなこんなで時間が経ち、お開きの時間になりましたが、最後にキャプテンから、飲み会ではクラブの話をしないようにしようという訓辞を頂きました。飲み会に参加していたみんなが反省しました。
大学一年の頃はそんなことで、クラブ活動を頑張りました。そのうち、練習の段取りもなんとなく身につき、時間の余裕もできたので、先輩や同期と一緒に飲み会によく行きました。飲み会では、クラブ活動の話は禁句だったので、みんなで好きな異性や芸能人についてワイワイ、ガヤガヤと騒いで楽しんでいました。居酒屋で自慢の焼き鳥と一緒に飲むビールの染み渡るよう美味しさが忘れられません。今はその当時からかなり経ちましたが、提灯につられて入った店というとその居酒屋のことが、頭の中に浮かんできます。
提灯が掛かっているお店が、ちょうど大学時代、バス&電車通学をしていた時に、通学路にありました。大学1年の時は、車での通学が禁止されていたので、公共交通機関を利用して通っていたのですが、その時、いつも、大きな赤い提灯が掛かっているお店を見ては、一度このお店に行ってみたいと思っていました。
そして、自分で運転して大学へ通うようになって、そのお店に友達と一緒に行ってみました。一緒に行った友達も、そのお店の事が気になっていたらしく、本当に大きかった提灯は、やはりインパクトも大きかったようです。
さて、実際にそのお店に行った感想は、「なかなかでした」という感じだったのですが、きっと、あのお店は、提灯が掛かっていなかったら行っていなかったと思います。交通の便が良い場所ではなかったし、周りに他にいい感じのお店があったわけでもないし。ただ、あの大きな提灯につられて入ったお店でした。
どのお店にも提灯が似合う訳じゃないので、偶然あのお店には、提灯が合っただけなのですが、あのお店は、提灯を掛けていた為に、集客率が上がったんじゃないかなぁ?なんて、勝手にその頃は思っていました。
ついでに、先日もそのお店の前を車で通ったのですが、相変わらず大きな提灯がかけられていました。ちょっと変わったのは、そのお店の提灯がちょっと古くなった感じがした程度でしょうか。
提灯は主にイベントで利用されますが、その利用は夜の方がよく目立ち、提灯の色で赤や緑など様々に光って見えます。
その中でも、一際、夜の巷を賑わせますのが赤提灯です。赤提灯と言えば飲み屋の店先に置いて、会社帰りの人などを引き寄せる宣伝効果のある小道具です。その前を通ると、かならす飲みたくなるものです。
1日の疲れを酒で取るのですが愛飲家ならば1度は経験したことのある赤提灯のある飲み屋です。そこでは職業の違う人たちが入り混じって酒を飲んでいます。赤提灯のある飲み屋のサラリーマンでしたら、その1日に在ったことや冗談を交えながら、それぞれ雑談しながら飲んでいます。その光景を見ると、今日も無事に終わったということが分ります。
赤提灯のある飲み屋だけで足りない人はハシゴ酒を2店、3店と飲み屋に入ってゆきます。帰る時間を気にしながら最終電車まで飲み明かす人もいます。しかし翌日の出勤には定まった時刻に出社していますし、大方の人はそうだと思います。酒を飲んで翌日、遅刻、欠勤することはないと思います。なぜなら今日も赤提灯のある飲み屋で旨い酒を飲みたいからです。そして定年まで続けても価値はあると思います。と言いますのは今の仕事を、それだけ続けた結果の定年だからです。
提灯の明かりってのは本当に暖かい明かりなんですよねぇ。都会のキラキラした感じの照明とは違って、ぼやっとした感じながら、確かな存在感を感じさせてくれるんです。冬の寒いときに見る赤提灯なんかはついついふらっと入ってしまいたくなる魅力があるんですよねぇ。
私が若いときに、仕事が忙しくて冬の寒い中残業がつづいたことがありました。ようやく仕事が終わった日に、なんだかすごく疲れてしまっていたのと、寒かったのでどこかで暖まっていこうかと思い周りを見ると、赤い提灯が店先にともされた居酒屋さんがあったんです。この提灯の明かりにふらふらと吸い寄せられて、その居酒屋さんに入ってみたんですが、実はここ、知る人ぞ知る穴場だったんです。
なんでもおいしい居酒屋さんとして雑誌に載るくらいのお店で、その日はたまたま空いていましたので、料理もお酒も目いっぱい堪能しました。店長さんも気さくな方で、実に楽しいひとときを過ごさせてもらいました。思えば、提灯に誘われて入ったのも何かの引き合わせだったのかもしれません。
それからこのお店にはちょくちょく通うようになりました。まぁ、繁盛しているお店なので混んでいるときは行きませんが、少しさびしい冬の夜には赤い提灯が見たくなり、冬になると月に一回は行くようにしているんです。提灯がきっかけで行きつけのお店を増やしたというのもなかなか乙なものではないでしょうか。
提灯と言えば、かかっている店の看板のようなものだと思います。提灯に灯りがともっていれば、営業中、そして表面には様々な言葉が書かれてあるのです。その言葉に引き寄せられて、仕事帰りなどのお父さんは店に入っていくのです。
看板として使われている提灯によく書かれている言葉は、「やきとり」だとか「ラーメン」だとかですが、それはお酒に合う食べ物ばかりです。一日がんばって働いたお父さんは、ビールの肴にそれらをいただきます。
私も以前、提灯につられて入った事があります。それは屋台のラーメン屋です。ただ、「ラーメン」と書かれているだけなのに、とても美味しそうに感じてしまうのは、もしかしたらお腹が空いているだけかもしれないし、ラーメンの文字以外にほんのり味噌の匂いがしたからもしれません。そして何よりも、提灯という看板を使っているから、なんでしょうね。
考えてみると、提灯は私たちに、癒しと安心をもたらしてくれると思います。会社ではパソコンなどの作られた電気に照らされて、自然とストレスが溜まってしまいます。癒しとも取れるロウソクのホンワカな灯りが、暗い夜道に「ラーメン」と教えてくれたならと思うと、入ってしまうのではないかと。そんなホンワカな店には、たいがい気のいいおじさんやおばさんが、美味しい料理を作っていてくれています。提灯につられて入るのもいいかもしれません。
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